きれいな字を書くコツ
まっすぐな線は、実は肘を上手く使うことで書けるようになります。つまり、きれいな字を書くには肘がポイントになるということです。この事実を知らない人は意外に多くいるようですが、肘を使わないまま練習しても字はなかなか上達しません。ここはきれいな字を書くためには欠かせないポイントですので、しっかり覚えておくようにしましょう。
きれいな字の秘訣は肘にあり!?
それでは、きれいな字を書くためのポイントとなる「肘」についてですが、結論から言うと、肘が自然に動いていることがきれいな字を書く秘訣になります。
まず、肘がどれくらい動くかというと「字の大きさに比例する」ことになります。ですから、肘を使うといっても、意識的に大きく動かすわけではありません。ボールペンで書いている線の長さだけ、細かく動くものとイメージして下さい。
肘を動かすことばかりに意識がいくと、今度は手がほとんど動かなくなる人がいます。どちらか片方ではなく、手と肘が同時に連動して字を書くのが理想的な動きになります。
あまり考えすぎるとぎこちない動きになりますから、「手と肘を動かす」というよりも「手も肘も固定しない」と考えるといいかもしれません。
そのためには、「正しい姿勢(字を書き始めるまでのポイント)」でもご説明しましたが、肘を机の上にのせて書いてはいけません。肘を机の上に置くと動きが固定されてしまいますから、肘は必ず机の外側に出しておくようにして下さい。
書き順を守ることできれいな字を書くことができる
「きれいな字と書き順に何か関係があるの?」そのように思われたかもしれませんが、正しい書き順を守ることは、字を書く上で大きなメリットがあるのです。そのメリットを理解して、書き順を守ることを意識するようにしましょう。
正しい書き順を守るメリットとは?
まず、最初のメリットとしてあげたいのは、何といっても字の形がきれいになるということです。正しい書き順で書くことで、字の形そのものが自然と整ってくるのです。
なぜなら、すべての字には書き順通りの流れというものがあり、それに従うことでちゃんと形が整うように作られているからです。前の一画からの流れをきちんと受け継いで次の一画を書けば、その分だけ字はきれいになるのです。
すでに間違った書き順で覚えてしまっている漢字を、急に正しい書き順で書こうとすると違和感があるかもしれませんが、ここは慣れの問題もありますので、少しでも早めに正しい書き順を覚えることをおすすめします。
正しい書き順で書くのに慣れてくると、思っていたよりも書きやすいことに気がつきます。ボールペンの運びもスムーズになり、きれいにかつ速く書けるようになりますので、書き順には注意を払ってみて欲しいと思います。
ちなみに、書き順の原則として「上から下へ」「左から右へ」「外から内へ」というのがありますので覚えておくといいでしょう。
書くスピードを守ることできれいな字を書くことができる
きれいな字をかくためには、適切なスピードで書くことが求められます。早すぎず遅すぎずのスピードを身につけることで、あなたの字はより美しくなることが期待できます。
ゆっくり書くほど字はきれいになる?
子供のころに学校の授業で、先生から「焦らないでゆっくり丁寧に書きましょう」と教わったことがあるのではないかと思います。確かに、ゆっくり書くと丁寧に書けるので、結果的にきれいな字が書けるという理屈は分からなくもないです。字を速く書こうとすると、形やバランスが乱れやすくなるのも事実でしょう。
ただしここで勘違いしないでいただきたいのは、誰もが同じ(ゆっくりとした)スピードで書けばよい、ということではないということです。もちろん、ゆっくり書けば書くほど字がきれいになるものでもありません。きれいに書けるスピードは、人によって変わってきます。
自分に合ったスピードで書くのが一番いいわけですが、それを無視して「とにかく丁寧に」と必要以上にゆっくり書くと、逆にきれいな字が書けなくなるのです。
では、「自分に合ったスピード」をどのように確認し、習得していけばよいかを説明したいと思います。
自分に合ったスピードを見つける方法とは?
自分に適した書くスピードの目安は「まっすぐな線がブレずに書けるスピード」となります。これは、実際に直線を引いてみるとすぐに分かりますので、紙に5センチくらいの線をスピードを変えながら何本か書いてみて下さい。
スピードが速すぎると、まっすぐな線でも途中で切れたりかすれたりして、不完全な線になるはずです。スピードが遅すぎると、しっかりと線が引けたとしても、線が微妙にブレたり筆圧が強くなりすぎたりして、やはり不安定な線になります。
線が途中でかすれることなく、ブレていないまっすぐな線を引くことができるスピードが、あなたにとって最適な書くスピードということになります。
このスピードの範囲で、「ゆっくり・丁寧に」を意識しながら書くと、それだけでもかなりきれいな字を書けるようになるはずです。ぜひ自分にあったスピードを見極めてから練習に励むようにして下さい。
お手本の使い方
字の練習をする際にぜひ使いたいのが「お手本」です。中には、お手本を見ながら書いても、なぜかお手本どおりに書けないという人もいらっしゃると思います。お手本を参考にただ書くだけでは効果がありませんので、お手本の正しい使い方をチェックしてみて下さい。
お手本でチェックすべきポイント
字を書く練習をするときに参考にすべきものといったら、やはり「お手本」です。ここでは、お手本を有効に活用する具体的な方法を、5つのステップに分けて紹介したいと思います。
まず最初に、お手本の字の全体を眺め、字のイメージをつかみます。字を書くという行為は、脳のイメージと実際に字を書く腕との連携で行われますから、美しい字を書くためには脳のイメージはとても重要になります。
イメージを脳に覚えさせるために、お手本の字を書き順どおりに頭の中で書いてみることをおすすめします。
この作業を飛ばしていきなり字を書き始める人が多いようですが、この最初のステップは欠かせません。「お手本を見るだけで字が上手になるの?」という声が聞こえてきそうですが、脳にきれいな字のイメージがないことには、いくら練習しても上達しないと言っても過言ではありませせん。
字の練習のためには、まずはじっくり字を観察すること。これをぜひ覚えておいて下さい。
次に、字の中心(字の外形をとった真ん中の位置)がどこになるのかを確認します。
中心がはずれると字全体のバランスが非常に悪くなりますので、中心を通っている点や線がある場合は、必ずそこに通すことをイメージしましょう。そのような点や線がない場合は、字のどのあたりが中心になるのかを自分でイメージします。
お手本の字の書き順を考え、第一画目がどこなのかをチェックします。
最初の一画がずれると、字全体のバランスが崩れますから、注意深く見ることが大切です。
次に、お手本の字の書き順の最後、つまり最終画を見ます。
最終画は字の右下の部分にくることが多く、字の美しさの決め手になっていることが多いのが特徴です。
最後に、細かいところを確認していきます。
点や線の長さ、方向、折れの角度など、細かいところをじっくり見ていきます。どの線が一番長いか、どの方向に向かって払っているのか、字を構成するすべての点や線をチェックしておきます。
字を書いた後のチェックは必須
字を書き終わったら、お手本と自分の字がどう違うのかをチェックします。
自分の字をチェックするときには、お手本と自分の字と両方を並べて比較するやり方がベターでしょう。透かしてみることができるなら、お手本に自分の字を重ねてチェックするのも効果的です。
わずかな点や線の違いでも字の印象は大きく変わってきますので、細かいところまでチェックするのがポイントです。
練習のやりすぎは逆効果!?
意外な注意点に思われるかもしれませんが、一度にたくさん練習しすぎるのは控えた方がいいです。その理由ですが、同じ文字をずっと練習し続けると、字を正しく見る感覚が失われ、きれいな字を書くことができなくなるからです。
ですので、字の練習で大切なのは、量ではなく質と心得て下さい。
たくさん練習するのではなく、しっかりとお手本を活用して自分の書いた字の修正点をチェックする。そして、頭の中で自分の字のクセを修正するイメージをしっかり行い、その上で練習をするという流れが大切なのです。